| 石油ストーブ・石油ファンヒーターによる事故事例集 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 【事例1】不完全燃焼による一酸化炭素中毒 |
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| 《解説》 |
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| 石油ファンヒーター等の燃焼器具が不完全燃焼を起こすと一酸化炭素を発生し、人体に吸引されれば死亡にまで至る中毒症状を引き起こします。 一酸化炭素中毒の危険については、機器の燃焼量、排ガス中のCO濃度、部屋の大きさ、換気回数によって異なりますが、一般的には、CO濃度(%)×呼吸時間(分)の値が3を超えると人体に影響があるといわれています。例えば、CO濃度が0.02%の室内に30分間いると軽度の頭痛がし、0.4 %以上では短時間でも吸引すれば生命が危険になるといわれています。 石油ファンヒーターが不完全燃焼する原因は、機器不良による場合以外では、密閉された部屋で長時間使用し換気不十分による場合と、機器手入れの不備によってホコリなどで給気不足になる場合があります。一酸化炭素は、酸素濃度の低下にともないある時点から急激に増加しますが、無色無臭であるため気がつきにくく、頭痛等の症状を自覚したときには身体が動かなくなるという危険性の高い気体です。 石油ファンヒーターによる一酸化炭素中毒については、昭和60年頃に多発したことから、昭和61年に「不完全燃焼防止装置」のJIS規定が設けられました。「不完全燃焼防止装置」の構造は、炎の中に存在するイオンが電流を流す性質を利用した炎検出器(フレームロッド)を使用し、異常燃焼が続く場合に自動消火し、換気ランプを点灯させ運転を停止します。JISによる燃焼排ガス中の一酸化炭素の二酸化炭素に対する比率(CO/CO2)は0.002以下、不完全燃焼防止装置の作動基準(CO/CO2比)は0.005 以下となっています。 必要な換気量については、(社)日本ガス石油機器工業会発行のガイドブックによれば、室内外の温度差が10℃で窓の高さを120cm とした場合、1時間毎に3分間30cm又は2分間45cm又は1分間90cm開ければ、最低限必要な換気量が得られるとしています。また、2cm開け続けていても同じ効果があるそうです。従来の木造住宅では、部屋の空気は1時間に5〜10回くらい自然に入れ替わっていましたが、最近の高気密の住宅では、自然換気は1時間に0.5 〜2回程度しか行われません。十分な空気を補給するために積極的な換気が必要です。 なお、この事例では、ガス石油機器PLセンターの調査によれば、狭い部屋内でガス給湯器とガスコンロを同時に使用し、換気も不十分だったようです。 |
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| 『対策』 |
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| 石油ストーブや石油ファンヒーターを使用する部屋では、定期的(30分〜1時間程度に1回)に換気を行うよう習慣づけましょう。 また、同じ部屋でガスコンロ等の別の燃焼器具を使うと、急速に酸素が不足し一酸化炭素の発生量が多くなりますので注意しましょう。 一酸化炭素中毒の初期症状は頭痛や吐き気が生じますので、自覚症状を感じた場合は、直ちに機器の使用を中止し、窓を開け換気をして下さい。また、気分が悪い場合は医師に相談し、その後、メーカーのサービスセンター等や最寄りの消費生活センターに相談しましょう。 |
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| 【事例2】不良灯油による機器故障 |
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| 《解説》 |
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| 都商品テスト課で苦情品を調べたところ、劣化した灯油を使用したことにより、「しん」にタールが付着し消火レバーの動作が悪くなったことが原因と判明しました。 石油ファンヒーターや石油ストーブに使用される灯油が良好でない(不良灯油)場合、燃焼性能に影響を及ぼし、不完全燃焼による一酸化炭素中毒に至る場合があります。正常な灯油は約270 ℃迄で気化しますが、酸化(変質)した灯油は気化温度が高くなり燃焼部で気化しきれずタールとなって付着します。タールが付着すると、石油ストーブでは消火・着火不良などが発生し、石油ファンヒーターでは点火不良や燃焼不良などが発生します。 不良灯油には、昨シーズンより持ち越した灯油が保管方法や保管条件により変質した変質灯油、天ぷら油等の種類の異なる油や水やゴミ等が混じった不純灯油があります。業界では、不良灯油の大部分は変質灯油といわれています。 (財)日本燃焼機器検査協会では、平成6年度に変質灯油が燃焼性能や消火性能に及ぼす影響を調査しています。調査結果では、変質灯油を使用した機器では、自然消火、着火不能、消火不能などが発生し、一酸化炭素発生量では正常灯油に比べ点火時と消火時に多く発生しています。 変質灯油の見分け方は、コップに3分の1くらい水を入れ、その上に試験灯油を入れてみます。灯油は、本来色が付いてなく無色透明で水と同じに見えますが、僅かに変質しただけで黄色く変色します。従って、コップに入れた灯油が、水と比べて少しでも色がついていたら変質灯油です。 なお、「しん」にタールが付着した場合は、取扱説明書に従って灯油を抜いて空焼きすれば、「しん」がクリーニングされ「しん」の上下がスムーズになります。もし、空焼きしても効果がない場合は芯を交換する必要があります。「しん」は、ガラス繊維に一部綿レーヨンを混ぜたものが多く、寸法はJISで決まっているので各社だいたい同じですが、灯油の吸い上げ性能などのデリケートな部分が異なり、各社間の互換性はありません。従って、「しん」と石油ストーブは一体のものであり、機器適合性試験に合格したものでなければ石油ストーブの性能を満足しないばかりか事故につながりかねない場合がありますので、(財)日本燃焼機器検査協会の合格証を貼付した「しん」を使用して下さい。 |
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| 『対策』 |
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| 長期間保存してあった灯油を使用するときは、変質灯油かどうかチェックしてから使用しましょう。変質灯油の処分については、灯油を購入した販売店に問い合わせて下さい。また、灯油を保存する場合は、紫外線を透しにくい色付きのポリタンクで灯油用として推奨マーク(日本ポリエチレンブロー製品工業会推奨)の付いている容器を選び、直射日光や雨水が当たらず火気のない冷暗所に保管しましょう。 なお、「しん」を交換する場合は、必ず純正品を交換するようにしましょう。 |
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| 【事例3】対震自動消火装置の故障(品質不良)による事故 |
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| 《解説》 |
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| 事故原因は、対震自動消火装置が過敏に作動したが途中で引っ掛かったため、完全に火が消えず不完全燃焼を起こしたものと判明しました。 石油ストーブや石油ファンヒーターには、火災予防条例により、「対震自動消火装置」の設置が義務づけられています。「対震自動消火装置」の原理は、振り子式で独楽(こま)の形をした振り子が100 〜200 ガル(震度4〜5程度)の振動で振れたときに消火する構造になっています。この基本的な構造は、各社とも同じで石油ストーブ、石油ファンヒーターとも同じものが付いています。 「対震自動消火装置」の取付けが義務づけになった経緯は、昭和43年に十勝沖地震で石油燃焼機器の転倒による火災が多発し、昭和45年に内閣の附属機関である中央防災会議で石油燃焼機器の出火防止対策が取り上げられたとから始まりました。JISには、昭和45年に規定が入り、昭和47年より作動基準が設けられ、その後何度か見直しが行われています。現在のJISの作動基準については、「地震が起きて人が消火活動を行わずあわてて外へ飛び出してしまう震度階級はだいたい4〜5である」との判断から、誤作動による不便さ等も考慮し作動下限値(これ以下では作動してはならない値)を100 ガル、作動上限値(これ以下で作動しなければならない値)を200 ガルとし、10秒以内に消火することとなっています。 なお、石油燃焼機器の点検整備については、消防庁認定の「石油機器技術管理士」制度が設けられています。この制度は、平成4年消防庁告示により、火災予防の観点から点検整備従事者の知識・技能や資質の向上等を図るため、消防庁長官が認定する事業として(財)日本燃焼機器保守協会(電話03-3499-2928)が実施するものです。資格認定試験は、年1回以上、都道府県広報により実施され、座学講習と筆記試験が行われ合格者は同協会へ登録されます。 |
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| 『対策』 |
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| 万一の場合に備えて、1シーズンに2〜3回、燃焼中に機器本体を水平にゆすって確実に消火するかどうか、対震自動消火装置の点検を行いましょう。 もし、機器の異常に気がついたら、直ぐに使用を中止し、メーカーのサービスセンター等に相談しましょう。また、製品不良による場合は、近くの消費生活センターへ相談しましょう。 なお、機器の修理や点検整備を依頼する場合は、有資格者のいる販売店等で行いましょう。また、長期使用による劣化等の事故の未然防止の観点から、2シーズンに1回程度、自主的に定期点検を受けるようにしましょう。 |
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| 【事例4】カートリッジ式給油タンクのキャップの不十分な締め方による事故 |
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| 《解説》 |
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| 給油時にカートリッジ式給油タンクのキャップを締め切らずこぼれた灯油に引火する事故は、石油ストーブ事故の中で最も多い事故パターンです。キャップを締めたつもりが不十分な締め方であったり、斜めに締めてしまったりなど、十分に締まったかどうか確認しなかったことが原因です。 JISによれば、給油キャップは斜め締めしにくい構造で、締め切るのに要する回転数は約2回転以内、約0.2kgf・cmの力で確実に締められるようになっています。約0.2kgf・cmの力というのは、親指と人指し指の2本の指で楽に締められる程度の力です。 平成8年度に(財)日本燃焼機器検査協会で調査した結果では、国内に流通している10社の新旧2製品(計20機種) について調べたところ、古い製品で1機種だけパッキンが固くなっていて締めつけトルクの大きい製品があった他は構造的な問題はありませんでした。また、最新の8機種について、石油ストーブを消火後に天板に灯油をこぼした場合について実験したところ、消火5秒後ではいずれも火がつき、消火1分30秒後ではいずれも火がつきませんでした。 業界では、こうした事故の対策として、給油タンクキャップの改良を行っています。改良内容は、ワンタッチでフタが締まるもの、グリップを大きくして軽い力で締められようにしたもの、締まると音がして締まったかどうか確認できるもの、締め方が緩くてもこぼれにくい構造にしたものなど、各社さまざまに工夫されています。 |
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| 『対策』 |
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| 給油キャップがなかなか締まらない場合は斜めに締めていないか確認し、カートリッジ式タンク給油後はいったんキャップを下向きにし、灯油漏れがないか確認したあとストーブまで運ぶように習慣づけましょう。 また、カートリッジ式給油タンクを引き抜くときは、完全に消火したことを確認してから取り出しましょう。 |
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| 【事例5】使用中給油(火を消さずに給油)による事故 |
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| 《解説》 |
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| 石油ストーブによる高齢者火災の事故原因は、火を消さずに給油する「使用中給油」によるものが最も多くなっています。中でも、給油タンクのキャップの不十分な締め方による灯油漏れとの複合的な原因で、火災になるケースが多くなっています。なお、最近の石油ストーブには、「給油時自動消火装置」の付いている機種がありますが、この石油ストーブには付いていませんでした。 「給油時自動消火装置」は、対震自動消火装置とリンクした安全装置で、燃料を補給しようとカートリッジタンクを抜くと、自動的に「しん」を降下させて瞬時に消火するものです。しかし、この給油時自動消火装置が作動しても、しばらくは火が残っていることがありますので、過信せず消火を確認する必要があります。平成8年度に(財)日本燃焼機器検査協会で国内に流通している10機種について実験したところ、給油時自動消火装置の作動後、最大燃焼状態では1〜23秒で消火し、最小燃焼状態では1〜86秒で消火したとなっています。 なお、この給油時自動消火装置については、平成12年現在では、JISに規定はなく火災予防条例で義務づけている自治体もなく、業界のガイドラインにも規定はありません。 |
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| 『対策』 |
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| 給油時には、必ず消火し、火が消えたのを確認してから、給油しましょう。また、カートリッジ式給油タンクは、キャップが確実に締まっていることを確認してから、タンク室に入れましょう。 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 【事例6】ガソリンの誤給油による事故 |
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| 《解説》 |
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| ガソリンを誤給油する事故は、東京消防庁管内でも毎年5件前後発生し、依然として少なくありません。この事例では、社長は普段から石油ファンヒーターの給油を行ったことがなく、灯油の置かれていた車庫内にガソリンの入ったポリタンクが置かれていることを知りませんでした。ガソリンを誤給油するケースは、こうしたガソリンと気がつかず給油する例の他に、使い方の分からない外国人(英語では灯油のことをケロシンと言い、石油=ガソリンと誤解している場合がある)が給油するケースなどがあります。 また、平成12年1月に静岡県の新聞販売店で、ガソリンを石油ストーブの近くで小分けしたことから7名が死亡する火災が発生しています。引火点の低いガソリンの蒸気は、空気よりも重く、常温でもかなり遠方の火気により引火する可能性が高く、わずかな火源でも火災や爆発を起こす危険性があります。 なお、東京消防庁によれば、ガソリンを誤給油し出火に至る経過は以下のとおりです。 1)最初のうちは、若干煙が多い程度で安定して普通に燃焼します。 2)輻射熱及び伝導熱によってカートリッジタンクの温度が上昇し、しばらくしてカートリッジタンク内の気体が膨張します。(ガソリンは、灯油に比べて蒸気圧が高いため通常の燃焼時の温度変化でも膨張します。) 3)気体膨張の圧力を受けてカートリッジタンク内の燃料が油受皿に流れ込み、油受皿の容量を超えるとカートリッジタンクの受け口から燃料が溢れます。 4)溢れ出た燃料にバーナーの火が引火し火災に至ります。 |
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| 『対策』 |
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| 灯油は無色透明で、ガソリンには赤い色が付いています。給油の際に、灯油の色を確認するようにしましょう。もし、ガソリンを給油したことに気がついた時は、それまで正常に燃焼していても即座に使用を中止しましょう。また、ポリタンクには内容物を表記しておき、何が入っているのか確認しやすくしておきましょう。 なお、10リットル上のガソリンを保管する時は、法令で定められた専用の容器に保管することが必要です。 |
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| 【事例7】周辺可燃物(布団、カーテン、スプレー缶等)による事故 |
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| 《解説》 |
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| 消防署の調査で、事故原因はスプレー缶の過熱であることが判明しました。ヘアースプレー等のエアゾール製品やカセットボンベは、可燃性ガスを用いた高圧容器であるため、過熱による破裂の危険があります。東京消防庁の「火災の実態」によれば、暖房器具の周辺にスプレー缶を置いていて事故になるケースが、1年間に10件前後報告されています。 こうした機器周辺の可燃物に引火する事故は、給油時以外の事故では最も多い事故類型です。具体的には、洗濯物を乾かすためにストーブの上に干していて落下するケースが多く、寝ている間に布団に着火したりカーテンに接触するなどが、代表的な事例です。 火災予防条例では、ストーブを使用する場合は周辺の壁等から一定の距離を保って使用するよう、基準が定められています。(表参照)
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| 『対策』 |
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| ストーブやファンヒーターの近くでは、スプレー缶等の可燃物を置かないようにしましょう。ストーブやファンヒーターの近くに洗濯物を干すのも止めましょう。 また、機器の設置場所は、壁等からできるだけ離し、カーテンの近くは避けましょう。 |
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| 【事例8】消し忘れ(火を消さずに外出や就寝)による事故 |
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| 《解説》 |
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| ガス石油機器PLセンターの調査によれば、外出中に石油ファンヒーターの上に干してあった洗濯物が落下したため、火災に至ったと推定しています。なお、使用者が石油ファンヒーターを消火しないで外出した理由は、3時間後に自動的に消火される機能がついているため消さなくてもよいと思ったからということです。 石油ファンヒーターには、「消し忘れ消火装置」が安全装置として付いていて、燃焼開始から3時間以内に自動的に消火される構造になっています。この消し忘れ消火装置は、昭和58年にあるメーカーの製品で就寝中に死亡事故があったことから開発され、昭和62年より関係官庁の指導により業界で自主的に取り付けていましたが、平成8年よりJISに規定されました。 安全装置が付いているからといって過信し、機器を消火しないで外出するのは危険です。留守の間に、取り返しのつかないことになりかねません。 |
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| 『対策』 |
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| 外出や就寝の際は、必ず消火するように習慣づけましょう。また、機器の近くに洗濯物を干すのは火災の原因となり危険ですので、絶対に止めましょう。 | ||||||||||||||||||||||||||||
| 【事例9】シリコーン配合製品の使用による機器故障 |
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| 《解説》 |
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| ガス石油機器PLセンターの調査によれば、施工後6年を経過したフローリングがヒビ割れし、剥がれた床みがき用ワックスの一部が機器内部に吸い込まれ、不完全燃焼を起こしたものと推定されています。 ヘアースプレー等のスプレー剤の一部には、揮発性シリコーンが配合されているものがあります。これらのシリコーン分子は空気とともに石油ファンヒーターに吸引され、燃えて白い酸化シリーコン灰となって燃焼バーナーのフレームロッドに付着し、安全装置が燃焼異常とみなす状態を引き起こすため、燃焼を停止します。また、再点火してもすぐに燃焼が停止し、使用不可能となります。 石油ファンヒーターには、不完全燃焼を検知すると自動停止する安全装置の設置が義務づけられているため、こうした製品を使用すると機器が停止します。床みがき用ワックス等にもシリコーンが配合されている場合は、同じ現象が発生します。 こうした問題が判明したのは10数年前のことで、東京都では平成4年に関係業界に申入れを行った結果、(社)日本ガス石油機器工業会では取扱説明書に注意文の追加を行い、日本化粧品工業連合会では機器内部に付着しても燃えてしまう炭化水素系成分に変えるなどの製品の改善が行われました。 なお、フローリングが熱に弱い材質の場合は、温風吹出口付近の床面が熱で変色したり、ヒビ割れやそり返りが発生することがあります。 |
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| 『対策』 |
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| ヘアケア製品、ガラスクリーナー、制汗剤、ワックス等を使用する場合は、シリコーン配合製品かどうか確認し、石油ファンヒーターを使用している部屋では使わないようにしましょう。 また、床の変色等の防止のため、熱に強いマットなどを敷くとよいでしょう。 |
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| 【事例10】製品構造に起因する事故 |
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| 《解説》 |
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| 事故原因は、灯油をガス化する気化器内のバルブスプリングが欠損し、バルブロッドが閉まらない状態になり、過剰の気化灯油が燃焼室に送られ点火火花により一気に炎が噴出したものです。バルブスプリングが欠損した原因は、灯油分に含まれていた水分等により腐食したことが原因と推定されました。 なお、東京消防庁では、バルブスプリングの材質を腐食しにくいステンレス製のものに変更するようメーカーへ指導し、その後、類似の事故例は発生していません。 この他、水分による腐食については、燃料タンクが腐食して穴が開く事故例が、いくつか報告されています。水分によって燃料タンクが腐食する原因は、燃料である灯油・燃料タンクに雨等の水分が混じる場合の他、灯油タンク内の空気中の水蒸気が結露することが考えられます。 なお、石油ストーブや石油ファンヒーターを使用している部屋では、灯油の燃焼により水蒸気が発生するため、加湿器は必要なく、約1時間で湿度が70〜80%になるといわれています。 |
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| 『対策』 |
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| 火災事故が発生した場合は直ぐに「119番」に連絡し、製品欠陥によると思われる事故であった場合は、最寄りの消費生活センターに相談しましょう。その際、事故品を現状保存するとともに、事故の起きたときの状況や被害の状況を詳しく記録しておくとよいでしょう。 また、定期的(1シーズンに1回程度)に機器がサビていないか確認するようにしましょう。 |
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| 【事例11】機器の掃除中に怪我をする事故 |
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| 《解説》 |
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| 石油ストーブや石油ファンヒーターは、掃除等の日常の手入れが必要です。石油ファンヒーターでは、裏側空気取入口にエアフィルター(石油ストーブにはありません)が付いていますが、ホコリが溜まり易いため、とききどき(週1回以上)フィルターを掃除機等で掃除する必要があります。エアフィルターが目詰まりすると、異常燃焼や機器内部の異常過熱の原因となり、煙が出たり機器本体上面が熱くなったりすることがあります。なお、石油ファンヒーターには「過熱防止装置」が付いていて、送風量が減少したりして使用中バーナー部の温度が異常に高くなると、自動消火し再運転(自動復帰)ができなくなるようになっています。 また、カートリッジ式給油タンクでは、給油タンク受け部分に給油フィルターが付いていますが、水やゴミが詰まると点火しなかったり途中消火する原因となりますので、目詰まりしているときは掃除が必要(1シーズンに2〜3回程度)です。送風ファンや本体内部の清掃については、掃除機のノズルが入らなかったりして掃除のしにくい機種があり、改善が望まれる部分です。 なお、機種によっては分解禁止の部分がありますので、注意が必要です。この事例については、ガス石油機器PLセンターの調査によれば、消費者が分解禁止部分まで分解し掃除していたということです。 |
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| 『対策』 |
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| 機器の日常点検や手入れを行うときは、取扱説明書をよく読み、必ず電源を切ってから行いましょう。また、本体内部の清掃をするときは、手袋をするなど怪我をしないように注意しましょう。 こまめな掃除が、機器を長持ちさせ事故を予防することにつながりますので、面倒がらずに手入れしましょう。 なお、過熱防止装置が作動した場合は、空気取入口のホコリの詰まりや温風吹出口がふさがれていないか確認し、本体が冷えるのを待って(10分以上)から掃除等を行い運転スイッチを入れるようにしましょう。 |
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| 【事例12】火傷等(着衣着火など)による事故
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| 《解説》 |
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| 石油ファンヒーターの温風吹出し口のすぐ近くであたっていると、衣服に着火する危険があります。特に、衣服の表面が毛羽立った綿やレーヨン等では、毛羽に着火し瞬間的に火が走る「表面フラッシュ現象」が起こることがあります。そして、火が走ることに驚いて、火災や火傷などの二次的な災害に結びつくこともあります。 また、石油ストーブや石油ファンヒーターの周囲は温度が高くなっていますので、近くで長時間あたっていると低温火傷や脱水症状になるおそれがあります。一般に、1秒程度の接触で火傷が生じるとされているのは70℃以上で、触っても温かく気持ちがいいと感じる60℃程度でも1分間で火傷し、50℃程度でも5分間で低温火傷になると言われています。特に低温火傷では、表面は軽い症状に見えてもかなり深い部分まで被害が及んでいて、通常の火傷より治療にも時間がかかって重症になるケースが多くなっています。 平成9年度に都商品テスト課では、機器使用時の各部温度や消火後に70℃と50℃に下がるまでの時間を測定する商品テストを行っています。機器各部の温度分布については、石油ストーブでは本体上部天板が325 ℃と最も高く燃焼筒ガード前が83℃で操作部や本体側面は22〜24℃、石油ファンヒーターでは温風吹出し口では126 ℃で上部天板や側面や操作部は28〜43℃となっていました。消火後の温度低下時間では、石油ストーブでは、上部天板が12分で70℃に14分で50℃に、燃焼筒ガード前が6分で70℃に7分で50℃になり、石油ファンヒーターでは温風吹出し口が50秒で70℃に2分で50℃になりました。 なお、燃えにくい繊維でできた防炎製品も開発されています。防炎製品には、カーテンや絨毯、布団や毛布、パジャマやエプロン等の衣料品などがあります。防炎製品を扱っている販売店については、(財)日本防炎協会(電話03-3246-1661)が「防炎製品取扱店一覧表」を3年ごとに発行しています。ちなみに都内で一般販売しているところは、平成11年の都調査では、(財)日本防炎協会を除き8店舗、店頭になく取り寄せているところが3店舗でした。 |
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| 『対策』 |
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| 燃焼中や消火直後は、ストーブの天板やファンヒーターの温風吹出し口には手を触れないようにしましょう。 また、機器の近くで寝込むと低温火傷のおそれもありますので注意しましょう。 火傷を防止するための保護ガードも別売品で売られていますので、幼児や高齢者のいる家庭では取り付けた方が安全です。 着衣着火については、厚着をする傾向のある高齢者等に特に注意が必要で、防炎衣料品などを積極的に活用しましょう。 |
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| 石油ストーブ・石油ファンヒーターについて(参考資料) | ||||||||||||||||||||||||||||
| 1 「石油ストーブ」とは |
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| 「石油ストーブ」とは、暖房用に使用する石油燃焼機器の一般名称です。狭義には、しん式の小型ストーブをいい、外部電源を要する石油ファンヒーターと区別されます。 「石油ストーブ」の燃焼原理は、燃料タンクから灯油を耐熱ガラス製の「しん」へ送り、「しん」の毛細管現象等によって点火ヒーターで着火する構造になっています。点火時以外は外部電力を必要としないため、乾電池さえ入れておけばどこでも持ち運びができるという利便性に優れています。 「石油ファンヒータ」の燃焼原理は、灯油を電磁ポンプで気化部へ送り、加熱して気化させ、点火電極で着火します。石油ストーブとの違いは、空気と灯油の混合割合や発熱量を電気的にコントロールできる点です。このため、石油ストーブと比較して、火力調整の幅が広くなっています。なお、燃焼空気を屋外より取り入れ燃焼ガスを屋外へ排気するものは「FF式」といい、燃焼原理は同じですが石油ファンヒーターとは区別されます。 今回の「東京都商品等の安全問題に関する協議会」で検討する石油ストーブは、普及台数が多く事故例も多い「石油ストーブ」と「石油ファンヒーター」を、主な検討範囲としています。 |
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| 2 「石油ストーブ」の種類 |
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| 一般に「石油ストーブ」といわれているものには、4種類のものがあります。その区分は、「開放式(室内の空気を用いて燃焼させ室内に燃焼ガスを排出する)」か「密閉式(室外の空気を用いて燃焼させ室外へ燃焼ガスを排気する)」か、「自然通気式」か「強制通気式(電動ファン等で強 制的に空気をバーナーに取り入れる)」かによって分かれます。 以前は、これら全てのものを石油ストーブと呼んでいましたが、昭和57年にJISの規格名称が開放式とそれ以外のものに分かれ、平成4年には自然通気式と強制通気式のものに分かれました。 現在、「石油ストーブ」と呼ばれているものはJISでは「自然通気形開放式石油ストーブ」といい、「石油ファンヒーター」と呼ばれているものは「強制通気形開放式石油ストーブ」といいます。また、FF式の温風暖房機はJISでは「密閉式石油ストーブ」といい、大型のストーブで室内の空気を用いて燃焼させ煙突で室外へ燃焼ガスを排気するものはJISでは「半密閉式石油ストーブ」といいます。 |
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| 3 「石油ストーブ」のはじまり |
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| 石油燃焼機器の業界団体である(社)日本ガス石油機器工業会(以下、工業会という)によれば、日本における石油燃焼機器の興りは、明治期の灯油ランプから始まり、大正9年に家庭用の煮炊きに使用する加圧式の「石油こんろ」が登場します。この「石油こんろ」は暖房用にも使われ、「石油ストーブ」の元祖と言われています。 その後、第2次世界大戦頃まで石油統制令が施行されていたことから民生用の石油機器はほとんど作られませんでしたが、戦後、産業復興と比例して原油の輸入が増加し原油の精製過程で製造する灯油の販売先確保の目的から、民生用の石油機器が作られるようになりました。 当時(昭和27、28年頃)は、薪や石炭が不足し都市ガスの供給制限が行われていたことから、「石油こんろ」が爆発的に売れ製造事業者数も数百にのぼり、小さな鉄工所でも作られていました。しばらくして、暖房用の「石油ストーブ」も普及し始め、現在の「石油ファンヒーター」と呼ばれるものは昭和53年に登場しました。その後、石油ファンヒーターの出荷台数が急速に伸び、平成元年には石油ストーブを追い越しています。 現在の出荷台数については、石油ファンヒーターが年間約 400万台、石油ストーブが年間約200万台となっています。なお、国内に流通している製品のほとんどは、国内で生産された国産品となっています。 |
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| 4 「石油ストーブ」の安全対策と歴史 |
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| 昭和27、28年当時は、「石油こんろ」の品質も悪く火災事故も多発し社会問題となったことから、昭和28年に関東石油機器石油こんろ懇話会(現在の工業会の前身、以下、懇話会という)が発足しました。また、昭和30年より東京消防庁が石油機器の品質について製品検査を行うようになり、他の自治体消防でも独自に製品検査を行う動きが出てきたことから、各自治体によって製品検査のバラツキが生じました。 こうしたことから、懇話会から通産省へ製品検査の基準作りについて要請を行い、昭和32年に石油燃焼機器の最初の「石油こんろ」のJIS規格ができ、昭和33年より日本燃焼器具検査協会(現在の(財)日本燃焼機器検査協会、以下、日燃検という)で検査が始まり、「石油ストーブ」についても昭和33年よりJIS規格ができ検査が始まりました。 その後、各消防庁による検査と日燃検による検査を受けた製品とが混在した状態が続きます。一方、東京消防庁では、まだ火災事故が多かったことから規制強化のため東京都の防火規定(火災予防条例)の大幅な改正を行いました。この防火規定にはJIS規格との差異もあったことから、販売市場に混乱を生じました。こうした中で、メーカーどうしが集まり、安全面や品質等その他の面で統一を図るため団体を作る動きがおこり、昭和36年に現在の工業会が発足しました。また、消防関係でも、都道府県別に製品検査を行い都道府県によって試験規定が異なっていたことから、関係官庁の調整により、昭和37年にJISを統一的な基準とするように検査基準の一本化が図られました。その後、安全装置の開発などがあり、何度か見直しが行われています。 現在では、石油ストーブの検査はJISを検査の基準として行われ、国内に流通している製品の99.9%以上がこの検査を受けた製品といわれています。なお、石油ストーブの製造については、検査受検は製造事業者の任意となっています。一方、石油ストーブの使用については、火災予防条例による規制があり、JISを基準として合格した機器を安全な機器としています。 |
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