報告書
 


報道発表資料


  平成12年6月14日  問い合わせ先
生 活 文 化 局 生活文化局消費生活部生活環境課
電話 03−5388−3055

高齢者の危害の実態、事故防止の課題 報告書
都内で年間に高齢者の4人に1人、推計約45万人が危害にあう

危害の9割は転倒転落 急がれる道路・公衆施設等のバリアフリー化
高齢者の危害防止は、交通事故や救急事故防止につながる

趣旨
この度、生活文化局では、「高齢者の危害の実態、事故防止の課題−安全な道路、公衆施設、住宅、商品等とは−」を取りまとめ、これに基づいてパンフレット「高齢者の事故防止のために」を発行しました。


危害、危険、事故の定義
本報告書では「危害」とは、商品や施設等によって身体に危害が及んだことを指し、「交通事故」、「救急事故における一般負傷」、「衛生年報における不慮の事故」を含んだ概念で使用しています。なお、身体に危害が及びそうになったいわゆるひやっとした経験は「危険」と定義し、この危害と危険を併せて「事故」と定義して調査を行いました。

報告書の概要

【危害実態の全体、事故防止の課題】

(1) 危害を受けた高齢者数
高齢者は1年間に25.7%が危害にあったと答えており、4人に1人の高齢者が危害にあったことになる。平成11年の都内の65歳以上の高齢者は約 176万人であり、年間約45万人の危害に相当する。これは、一般負傷による救急搬送高齢者の約19倍、交通事故による死傷高齢者の約76倍に相当する。

(2) 危害の程度、原因
危害を受けた高齢者が医者にかかった割合は62.8%。危害は3人に1人が骨折又は脱臼・捻挫。危害の約9割が転倒・転落。危害は四肢が特に多いが、全身にわたっている。危害の程度は、交通事故、一般負傷による救急搬送事故の傷害に劣らない。

(3) 事故防止の課題(全体的課題)
事故防止のためには、高齢者への事故事例などの情報提供や、注意喚起が必要。
また、安全能力の低下を客観的に判断し、低下する安全能力の維持・向上を図るための情報提供も必要である。
関係行政機関は相互に情報交換を行い、高齢者の事故防止を推進するしくみづくりが求められる。


【商品・施設等毎の危害実態、事故防止の課題】

(1) 道路での危害は32.7%
高齢者の道路での危害は32.7%であり、この道路での危害は、交通事故件数の約16倍、交通事故による死傷者数の約25倍に相当する。高齢者が要望するバリアフリー化の必要な施設の第1位は道路で79.5%である。
道路の段差の解消・平坦化・ノンスリップ化、歩道の確保・拡張、電柱の地中化、放置自転車・看板・その他障害物の整理撤去、工事中・後の安全確保など、行政各分野の幅広い連携と対策が必要。道路の危害防止・バリアフリー化は、交通事故、救急搬送事故の防止につながる。

(2) 道路での危害は17.1%が自転車の危害
道路での危害32.7%のうち、半数以上の17.1%が自転車での危害である。これは、交通事故統計による高齢者の自転車事故の約37倍(自転車乗車中の危害は約26倍)に相当する。
自転車による危害防止には、道路のバリアフリー化の他、自転車マナーの徹底、軽量化・転倒防止など高齢者が安全に手軽に利用できる高齢者用自転車の開発も必要。
また、自転車は高齢者の行動半径を広げる有力な交通手段であり、放置物・障害物ではなく、高齢社会に必要な交通手段とする新しい都市像が期待される。

(3) 公衆施設等での危害は25.5%
公衆施設等での危害は25.5%であり、バリアフリー化の必要な施設は、乗物の駅舎が道路に次いで要望が多く第2位で54.1%。
以下、乗物内16.8%、百貨店・スーパー等13.5%、病院・診療所等12.0%、集合住宅の通路・広場等10.6%、広場・公園等 7.4%、公民館・福祉施設等 6.8%である。
公衆施設等は、階段、段差、路面、床、自動ドア、洗い場、浴槽など転倒や歩行障害をもたらすものの対策が必要。また、日常的な事故防止の点検も必要。

(4) 住宅での危害は18.6%
住宅での危害は18.6%である。高齢者住宅のバリアフリー化度は、一般消費者住宅に比べある程度の対応が見られ、階段・浴室の手すりが4〜5割台の設置率であるが、玄関・トイレ等の手すりの設置率、及び段差解消、滑り止めなど転倒防止のためのバリアフリー化率は1〜2割台でありあまり高くない。(消費者一般の住宅は、手すりの設置率は3割未満、その他バリアフリー化率は大部分が高齢者住宅より低い。)
意識啓発や住宅の改善、事故防止の情報提供などの他、バリアフリー化のための普及啓発が必要である。但し、ひとり暮らしや年金生活(高齢者夫婦)などの世帯が55.7%もあり、高齢者住宅のバリアフリー化はこの点を踏まえた施策が求められる。

(5) 商品・サービスの危害は23.2%
商品・サービスの危害は23.2%である。高齢者は、ストーブ類・すのこ・脚立など火災事故に結びつきやすい商品、転倒・転落を誘発しかねない恐れの強い商品に危険意識が高く、メーカーの設計段階からの検討が望まれる。
また、多機能で複雑な電気製品、細かい文字がぎっしり書かれた表示、重すぎる掃除機、開けにくい容器などが使いにくい商品としてあげられており、高齢者の使いやすい商品の開発が必要。
使いやすい商品の紹介、商品選択・使用上の注意マニュアルの発行、業界への安全基準作成の要望等を行っていく必要がある。


都の今後の対応
(1) 報告書は、多くの関係者の参考に供するため、6月15日より都民情報ルームから有償(定価410円)で頒布し、パンフレットは、都及び区市町村の高齢者担当窓口等を通じて高齢者関係施設、高齢者団体等に配付(50,000部)し、高齢者の事故防止の普及啓発を行う。

(2) この報告書等を基に、今後、関係行政機関、業界団体、高齢者施設等へ、事故防止を呼びかける。

(3) 第16次東京都消費生活対策審議会が今年12月高齢者の事故防止施策に関する答申を予定しているが、本報告書等をその検討のための参考に供する。



報告書の概要

調査時期 平成11年11月15日〜平成12年2月18日
調査方法
(1) 高齢者一般アンケート調査
東京都物価調査員500人に1人当たり2件のアンケートを依頼。都内に住む65歳以上の高齢者にランダムに聞き取り調査を実施。但し、回答可能な場合は直接記入してもらった。
(有効回答673件)

(2) 危害事例募集調査
都内の病院、高齢者関係施設に、ポスター・チラシを設置し申込み葉書で申込みを受け、調査票を郵送し、記入してもらった。一部面接聞き取りもある。(有効回答92件)
(3) 追跡調査
1、2で危害を受け、了解の得られた112人に対し、電話で詳細な内容のヒアリングを実施し、必要な事例については、現地調査、面接調査、商品等の確認を行い、典型的な危害16事例をとりまとめた。


高齢者の危害の実態

高齢者の危害の実態
(1) 1年間に危害を受けた高齢者は25.7%、4人に1人の高齢者が危害にあう
都内の高齢者が、商品・施設等により1年間に「危害」を受けたと答えた割合は25.7%。
この危害の内訳は、「道路」32.7%、「公衆施設等」25.5%、「商品・サービス」23.2%、「住宅・敷地」18.6%である。
これは、1年間に4人に1人の高齢者が危害にあったことになる。また、危害の6割弱が道路・公衆施設等による危害である。

(2) 年間約45万人の危害
平成11年の都内の高齢者は約 176万人なので、1年間に約45万人の高齢者が商品・施設等により危害にあったものと推定できる。
内訳は、道路約14.7万人、公衆施設等約11.5万人、商品・サービス約10.4万人、住宅・敷地約 8.4万人である。

(3) 一般負傷による救急搬送高齢者の約19倍、交通事故による死傷高齢者の約76倍
平成11年の都内の高齢者の交通事故は9,137 件であり、交通事故の高齢者の死傷者は 5,920(うち死者101)人である。また、平成10年に一般負傷で救急搬送された都内の高齢者は24,220人である。さらに、平成10年の不慮の事故による都内の高齢者の死亡者は 1,289人である。
本調査における商品・施設等による危害は、交通事故、救急事故の一般負傷、及び衛生年報の不慮の事故を含む概念である。また、本調査はランダム調査であるため、交通事故、一般負傷、不慮の事故も含まれる。高齢者の危害のおおよその全体像を見るため、年次は違うが、これらのデータを比べてみると、次のようになる。
高齢者の商品・施設等による危害は、一般負傷により救急搬送された高齢者の約19倍、交通事故による高齢者の死傷者の約76倍、不慮の事故による死亡高齢者数の約 351倍に相当する。
これは、従来からの公的データの数字の裏に、膨大な危害が隠れていることを物語っている。


    参考1 他調査との危害比較、及び危害都民の推定  (単位:%、万人)
    調査名(年度)  危害 人口 危害都民
高齢者(65歳以上) 本報告書(平成11年度)  25.7 176  45
消費者一般
(20歳以上)
消費生活モニター
(平成11年度)
18.2 964 175
幼児(0〜6歳) 昨年度報告書
(平成10年度) 
27.1 66 17
    参考2 危害原因となった商品・施設等  (単位:%)
     自宅以外の場所 
(道路・公衆施設)
自宅・敷地 商品・サービス
高齢者(65歳以上) 58.2 18.6 23.2
消費者一般(20歳以上) 51.7 12.6 34.4


危害の程度
(1) 医者にかかる割合が高く、しかも重篤
商品・施設等により危害を受けて医者にかかった高齢者は62.8%となっている。
その内訳をみると、医者にかかった期間が「1か月以上」が52.8%、「1週間から1か月未満」が22.9%、「1週間未満」が24.3%である。また、危害を受けた高齢者の23.5%が入院し、後遺症が残った高齢者は危害にあった高齢者の22.3%、死亡した高齢者は危害にあった高齢者の 0.4%、となっている。

(2) 3人に1人が骨折又は脱臼・捻挫
高齢者の危害は、「擦り傷・挫傷・打撲傷」59.8%、「骨折」22.9%、「捻挫・脱臼」14.9%、となっている。

(3) 危害の程度は、交通事故、救急搬送事故に劣らない
平成10年に一般負傷により救急搬送された高齢者は24,220人で、内訳は死亡者69人(搬送された高齢者の0.3 %)、重篤・重傷503 人(同 2.1%)、中等症10,104人(同41.7%)、軽症13,544人(同55.9%)である。また、平成11年の交通事故は9,137 件、死傷者は 5,920人(うち死亡者 101人)であり、死傷者は事故件数の64.8%、死亡者は同 1.1%である。
衛生年報によると平成10年の不慮の事故による死亡高齢者は、交通事故による死亡高齢者の約8倍、火災による死亡高齢者数者の約20倍となっている。(衛生年報では交通事故、火災による死傷者等は不慮の事故に含まれている。)
これらの公的データの危害と上記(1)(2)の危害程度と比べると、高齢者が商品・施設等によって受ける危害は、一般負傷による救急搬送事故、交通事故の傷害程度に劣らないと言える。

(4) 約9割が転倒・転落
高齢者が商品・施設等によって危害を受ける原因は88.9%が転倒・転落・不安定である。
施設等(道路、公衆施設等、住宅・敷地)による危害は、転倒・転落・不安定によるものが91.0%である。施設別に見ると、道路は95.8%、住宅・敷地は92.9%、公衆施設等は88.3%である。
一般負傷で救急搬送された高齢者の事故の85.8%は転倒・転落である。衛生年報から不慮の事故死の事故原因をみると、死亡者の約4分の1は転倒・転落である。

(5) 危害は、全身にわたっている
危害の部位は、「大腿・下腿」28.7%、「あし首から先」16.1%、「腰部・臀部」16.1%、「腕・肩」17.7%、「手」17.7%、「顔面」14.6%、「頭部」7.9 %などとなっている。
危害は四肢が特に多いが、全身にわたっている。


 参考3 医者にかかった割合比較、医者にかかった都民数の推定 (単位:%、万人)
     危害割合 医者にかかった割合 人口 医者にかかった都民推定
高齢者(65歳以上)  25.7 62.8 176 28
消費者一般
(20歳以上)
18.2 35.6 964 62
幼児(0〜6歳) 27.1  31.9 66 5

 参考4 医者にかかった状況比較  (単位:%)
     1週間未満 1週間〜1か月 1か月以上 入院した
高齢者(65歳以上) 14.6 32.6  52.8 23.5
消費者一般(20歳以上) 38.7 35.5 25.8 3.2
幼児(0〜6歳) 44.9 44.2 10.9 1.4 
※ 幼児の危害は、骨折は危害を受けた幼児の 1.8%、擦り傷・切り傷・打撲傷77.6%。

その他の特徴
(1) 危害の約6割は継続的に利用しているもので起きている
(2) 危害は約7割が、一人の時か、見知らぬ他人ばかりの時に起きている
ちなみに、幼児の危害は、大人が側にいたが45.1%、子供が一人は20.5%。
(3) 危害にあった高齢者は、6割強が自分の不注意、約4割が商品等に問題があると考えている。


  参考5 事故に対する責任の考え方(複数回答) (単位:%)
    商品等に何らかの問題等 自分の責任
高齢者(65歳以上) 51.5 74.8
消費者一般(20歳以上) 114.6 50.9
     商品等の何らかの問題等 大人責任・幼児不注意
幼児(0〜6歳) 21.9 84.3


(4) 危害が苦情となるのは約1割


  参考6 苦情の申し出比較  (単位:%)
      申し出なし 申し出先(複数回答)
販売店・メーカー等 生活センター その他
高齢者(65歳以上) 90.3 7.3 0.0 2.4
消費者一般(20歳以上) 87.3 12.8 3.2 1.8
幼児(0〜6歳) 93.8 2.9 0.2 3.3


II 事故防止の方向、課題

安全能力の低下、事故防止の方向
(1) 安全能力の低下
一般的に、日常生活の中で生ずる危険を予知し、それに主体的に対処できる能力を安全能力と言っている。この安全能力は、生理・感覚的要素、知能・認識的要素、身体・運動的要素、情緒・性格的要素の4種類から成り立っていると言われ、体の行動力及びストレスに耐える抵抗力を示す「体力」とは異なるものと言われている。
加齢と心身機能の低下には一定の相関関係がある。
例えば、高齢者の歩行は、歩幅が狭く、両足が地面についている時間が長く、歩行能力が低下した高齢者は歩面を足ですって歩行することが多くなる。
バランス能力は、様々な心身機能の総合として成り立っているが、加齢とともにバランス能力が低下する。

(2) 事故防止の方向
1) 商品や施設等による高齢者の危害防止のためには、様々な事故事例を丹念に収集し、その中から不測の事態が生ずる原因を分析して、商品や施設等の改善に生かす必要がある。

2) 高齢者に事故事例などの情報を提供し、高齢者の注意を喚起する必要がある。
3) 高齢者は、自己の心身機能の低下を正確に理解していないことがうかがえるため、加齢にともなう安全能力の低下や日常生活での注意点について情報提供する必要がある。

4) 安全能力の低下を客観的に判断し、低下する安全能力の維持・向上を図るための情報提供が必要である。

5) これらの情報を確実に高齢者に届けるために、高齢者支援に係わる行政及び民間機関の協力体制を構築しなければならない。


行政施策の現状、今後の課題
(1) 行政施策の現状
東京都の高齢者に対する安全対策は、今後の本格的な展開が待たれている。
国のハートビル法に基づく認定建築物は平成10年3月現在、全国で 680件であり、高齢者や障害者にやさしい建築物の建築の一層の増加が期待されている。
本調査によれば道路の危害は最も多く、また、道路のバリアフリー化への高齢者の要望も最も多い。
今回、交通バリアフリー法が制定されたが、駅付近のみならず道路全体についての危害防止、アクセシビリテイの向上が求められる。また、危害防止に関して、行政間の連携・共同行動の積み上げも求められる。

(2) 今後の課題
1) 本調査のような事故事例や意見・要望を関係行政機関や事業者等へ届けると同時に、高齢者に対する情報提供が必要である。

2) 高齢者の事故防止の効果を上げるためには、各行政機関における高齢者の事故防止施策の進捗状況を把握して、相互の情報交換が必要である。

3) 高齢者の事故防止を推進するしくみづくりが求められる。


III 分野別事故防止の課題

道路の危害防止の課題
(1) 道路の危害
1年間に危害にあった高齢者25.7%のうち、道路による危害は32.7%であり、高齢者全体から見れば道路による危害発生率は 8.4%になる。
平成11年の都内の高齢者は約 176万人であり、道路による高齢者の危害は約147,000 人発生したものと推定できる。
一方、平成11年の都内の高齢者の交通事故は、事故件数9,137 件、死傷者5,920 人である。
従って、道路に於ける高齢者の危害は、交通事故件数の約16倍、死傷者の約25倍生じているものと推定できる。

(2) 自由意見
道路についての自由意見は 765人のうち合計 266人( 34.8%)の意見があり最も多かった。

路上の障害物の整理・撤去   112 件
・ 放置自転車の取り締まり、駐輪場の整備等     60 件
・ 路上の看板・障害物等の取締り、電柱の整理   18 件
・ 路上駐車の取り締まり                 13 件
・ 消費者啓発、その他                   21 件

道路の整備    109 件
・ 段差・凹凸等の解消                  63 件
・ 歩道の幅、傾斜の改善                 30 件
・ 信号機の設置・改善                  13 件
・ その他                            3 件

道路を使いやすく    45 件
・ 歩道等の環境整備                    33 件
・ その他                            12 件


(3) 高齢者が要望するバリアフリー化
高齢者が道路に必要なバリアフリー化としてあげたものは、看板・放置自転車の取締り63.1%、青信号の時間は長く33.0%、交通標識等は文字を大きく27.2%、などとなっている。

(4) 危害防止の課題
道路の危害は、道路交通法の「交通事故」と、交通事故にならない「道路一般の危害」の2種類がある。
本調査結果で現れた道路の危害は、交通事故件数の約16倍、交通事故による死傷者数の約25倍に相当する。
道路に於ける危害防止は、道路のバリアフリー化と同時に、道路の段差の解消・平坦化・ノンスリップ化、歩道の確保・拡張、電柱の地中化、放置自転車・看板・その障害物の整理撤去、工事中・後の安全確保など、行政各分野の幅広い連携と対策が必要である。
そして、道路の危害防止策を進めることこそが、交通事故や一般負傷による救急事故を確実に防ぐことにつながるものであるといえる。

(5) 特に、自転車危害の防止対策の課題
1) 自転車の危害
高齢者の危害263 件の中で、合計45件(危害を受けた高齢者の 17.1 %) が自転車が何らかの形で関係した危害である。自転車乗車中の自転車危害32件(12.2 %) 、歩行中の自転車危害(対自転車)が13件(4.9%) である。
高齢者全体でみると、自転車が関係した危害の割合は 4.4%、自転車乗車中の自転車危害 3.1%、歩行中の自転車危害(対自転車)は 1.3%となる。
平成11年の都内の高齢者は約 176万人であり、1年間に商品施設等によって危害を受けた高齢者約45万人のうち、自転車が関係した危害は約 7.7万人、自転車乗車中の危害は約5.5万人、歩行中の自転車危害(対自転車)は約 2.3万人と推定できる。
これを高齢者人口1万人あたりでみると、1年間に商品施設等によって危害を受けた高齢者は約 2,570人、このうち自転車が関係した危害は約 440人、自転車乗車中の危害約 310人、歩行中の自転車危害約 130人となる。
交通統計から推計した平成11年の高齢者の自転車事故(自転車に乗車しての事故)は、高齢者人口1万人に対し12件(相手当事者が自動車であるものが約10件、二輪車が約 2件)である。
従って、高齢者の自転車が関係した危害は、交通事故統計の高齢者の自転車事故の約37倍(自転車乗車中の危害は約26倍)に相当する。

2) 危害防止の課題
自転車事故の危害防止には、道路の危害防止の課題で述べた対策が必要である。
さらに、高齢者及び一般消費者の自転車マナーの徹底が必要である。
また、転倒防止、軽量化など、高齢者が安全に、手軽に利用できる高齢者用自転車の開発も進めなければならない。
すすみゆく高齢社会の中で、自転車が、高齢者の行動半径を広める有効な手段の一つであることは間違いない。
自転車は、自動車との関係では交通弱者であるが、人との関係では交通強者である。
都市におけるアクセシビリティの向上のためには、自転車が機能する新しい街づくりが望まれる。自転車を、単に、放置物、障害物とせず、高齢社会に必要な交通手段として位置づけることから新しい都市像が生まれるものと考えられる。


公衆施設等の事故防止の課題
(1) 危害の実態
1年間に商品・施設等によって危害を受けた高齢者25.7%のうち、公衆施設等によって危害を受けたものは25.5%であり、高齢者全体から見れば公衆施設等の危害発生率は 6.6%である。

(2) 改善要望
1) 自由意見
施設等についての自由意見は、 765人のうち合計 121人( 15.8%)の意見があった。

駅舎(49件)
・ 下りも大変なので下りにエスカレーターがほしい
  他12件
・ 交通機関にはエスカレーターやエレベータをつけてほしい
  他12件
・ 切符売り場が機械化され使い方が分からない
  他 7件
・ 構内は複雑で段差が多い。バリアフリーにしてほしい
  他 3件
・ 料金表、案内図、案内板は文字を大きくてしてほしい
  他 3件
・ ホームと電車の間の隙間が開き過ぎて不安
  他 2件

百貨店・スーパー(25件)
・ 各階に休憩のための高齢者用椅子を設置してほしい
  他 4件
・ 通路にも商品があり、車椅子で通れない
  他 3件
・ 自転車置場、売り場はスペースを広くしてほしい
  他 2件

小売店(15件)
・ 各商品を道路にはみ出して陳列するのは止めて欲しい
  他13件

乗物内 (12件)
・ 電車に高齢者用車両を設け、職員を配置してほしい
  他 1件

病院(5件)
・ 施設を使いやすくしてほしい
・ パネルタッチのドアにぶつかってしまった

2) バリアフリー化(アンケート結果)
消費者一般と高齢者の指摘するバリアフリーの必要な社会施設にやや異なる面もあるが、同様の傾向もうかがえる。


   参考7 バリアフリー化の必要な施設比較(複数回答)  (単位:%)
     道 路 駅 舎 乗物内 百貨店等 病院等
高齢者(65歳以上) 79.5 54.1 16.8 13.5 12.0
消費者一般(20歳以上) 88.9 82.8 23.8 33.5
      集合住宅外 公園等 公民館等 役所等 小売店
高齢者(65歳以上)  10.6 7.4 6.8  4.8 4.5
消費者一般(20歳以上) −−−− 4.2 8.8 7.7 3.3


(3) 施設別必要なバリアフリー化の種類

【乗物の駅舎に必要なバリアフリー】
乗物の駅舎に必要なバリアフリーの種類では、エレバーター・エスカレータの設置57.9%、階段段差の高さを狭く・色別に22.2%、階段等の手すりの設置19.0%、階段・床材は滑りにくい材質15.8%、床の段差を無くして10.4%、となっている。

【乗物の内に必要なバリアフリー】
乗物内に必要なバリアフリーの種類では、床の段差を無くして27.6%、階段・床材は滑りにくい材質22.4%、階段段差の幅を狭く・色別に16.3%、出入り口・通路の幅を広く8.2%、施設・設備を低く 7.1%、となっている。

【スーパー・百貨店に必要なバリアフリー】
スーパー・百貨店に必要なバリアフリーの種類では、階段・床材は滑りにくい材質28.6%、階段等に手すりの設置19.0%、床の段差を無くして17.7%、エレバーター・エスカレータの設置15.2%、出入り口・通路の幅を広く11.4%、階段段差の幅を狭く・色別に10.1%、車椅子の付添い同伴トイレの設置 8.9%、となっている。

【病院・診療所等に必要なバリアフリー】
病院・診療所等に必要なバリアフリーの種類では、床の段差を無くして28.6%、階段・床材は滑りにくい材質27.1%、トイレのドアは引き戸に24.4%、階段に手すりの設置15.7%、階段段差の幅を狭く・色別に15.7%、エレバーター・エスカレータの設置14.3%、となっている。


(4) 危害防止の課題
公衆施設等は、その施設・設備が多様であるが、危害を起こすことが多いのは、階段、段差、路面、床、自動ドア、洗い場、浴槽など転倒や歩行障害をもたらすものであり、まずこれらの対策が必要である。また、都市施設については、日常的な事故防止の点検が必要である。

住宅の危害防止の課題
(1) 危害の実態
1年間に商品・施設等によって危害を受けた高齢者25.7%のうち、住宅・敷地によって危害を受けたものは18.6%であり、高齢者全体から見れば住宅・敷地の危害発生率は 4.8%である。

(2) 住宅のバリアフリー化の実態とニーズ
1) 住宅の危険な場所
高齢者は、階段、風呂場を多数が危ない場所と考えている。

2) 取り入れているバリアフリー化の種類
高齢者の住宅のバリアフリー化度は、一般消費者住宅に比べある程度の対応が見られる。
しかし、事故防止に直結する手すり、滑り止め、段差解消など転倒防止のためのバリアフリー化の普及率はあまり高くなく、全体としてバリアフリー化があまり進んでいない。
消費者一般の住宅については、手摺りの設置、浴槽があまり高くないが3割以下であり、住宅のバリアフリー化は高齢者住宅より浸透していない。


    参考8 取り入れているバリアフリー化の種類(複数回答)  (単位:%)
      高齢者住宅
(65歳以上)
一般消費者住宅
(20歳以上)
バリアフリー化が取り入れられている住宅  82.5 60.7













手すりの設置 55.4 27.6




階段 54.4    
浴室 41.9
玄関 17.5
ドア 10.4
トイレ 10.0
浴槽があまり高くない 43.1 24.5
水道・給湯設備はシングルレバーの混合栓 33.6 34.9
床・敷居の段差がない 23.8 23.8
開閉ドアでなく引き戸 20.1 9.8
床は滑りにくい材質 19.8 11.1
常夜灯等の設置 12.2 11.3
調理台・設備を低くしている 11.9 3.6
階段・段差の滑り止め設置 10.9 7.9
出入口など車椅子対応 4.0 4.8
ホームエレベーターの設置 2.6 6.1
電磁・電気調理器使用 2.6 2.1
その他 0.4 2.7


3) バリアフリー住宅のニーズ
本調査で、バリアフリー住宅についての今後のニーズを聞いたところ、現在のままでよい57.1%、高齢者が住みやすいように改善したい31.5%、よい高齢者住宅があれば買い換えたい 2.8%、よい賃貸高齢者住宅があれば入居したい 6.2%、その他 2.4%となっている。
既に見たように、取り入れているバリアフリー設備の種類に限りはあるが、半数強が現在の住宅に満足し、住みやすいように改善したいという高齢者は約3分の1である。
本調査では、高齢者は、子供と同居している世帯が33.3%であり、ひとり暮らしや夫婦のみが55.7%になっている。

(3) 事故防止の課題
1) 意識啓発や現在の住宅の改善、事故防止の情報提供などの他、バリアフリー化、ユニバーサルデザインの普及啓発等が必要である。

2) 高齢者のみの世帯になれば、生活資金は年金や再雇用など限られてくる。このため、高齢者の住宅のバリアフリー化は、ひとり暮らしや年金生活など高齢者の生活実態を踏まえた施策が求められる。


商品・サービスの事故防止の課題
(1) 危害の実態
1年間に商品・施設等によって危害を受けた高齢者25.7%のうち、住宅・敷地によって危害を受けたものは18.6%であり、高齢者全体から見れば住宅・敷地の危害発生率は 4.8%である。

(2) 危ない商品、使いにくい商品
1) 危ない商品、危ない点
本調査で高齢者に危ないと思う商品を3つまで選んでもらったところ、石油ストーブが18.6%(回答者割合)で第1位であった。危ない点として上げられた点は、火災55.2%(回答者割合)、発火・引火26.4%、点火・燃焼消火不良19.5%、燃料漏れ・液漏れ17.2%、ガス漏れ 5.7%、転倒・転落・不安定 5.7%である。
第2位はガステーブル16.9%であった。危ない点は、火災38.0%、加熱焦げ32.9%、ガス漏れ29.1%、点火・燃焼消火不良25.3%、発火・引火16.5%、ガス爆発 5.1%である。
第3位はガスストーブ11.5%であった。危ない点は、火災50.0%、ガス漏れ29.6%、点火・燃焼消火不良24.1%、発火・引火 9.3%、加熱焦げ 9.3%、ガス爆発 7.4%、転倒・転落・不安定 7.4%である。
第4位はすのこ・マット10.0%であった。危ない点は、転倒・転落・不安定95.7%、腐敗・変質する 2.1%、鋭利・バリ2.1 %である。
第5位はきゃたつ台 8.8%であった。危ない点は、転倒・転落・不安定95.1%である。

2) 使いにくい商品
本調査で高齢者に使いにくい商品を3つまで選んでもらったところ、ビデオが19.8%(回答者割合)で第1位である。使いにくい点は、操作が難しい66.7%(回答者割合)、使用説明が複雑28.7%、使い方が複雑26.4%、説明文字が小さい18.4%、使用記号が意味不明12.6%などである。
第2位は、食品の容器・包装15.5%である。使いにくい点は、開け難い79.4%、説明文字が小さい 7.4%などである。
第3位は電子レンジ 8.4%である。使いにくい点は、操作が難しい67.6%、使用説明が複雑29.7%、説明文字が小さい27.0%、などである。
第4位は掃除機 7.1%である。使いにくい点は、重い87.1%、使い方が複雑 6.5%、操作が難しい 6.5%、大き過ぎる 6.5%、使用説明が複雑 6.5%などである。
第5位はラジカセ 6.2%である。使いにくい点は、操作が難しい55.6%、使用説明が複雑37.0%、使用記号が意味不明37.0%、使い方が複雑18.5%、説明文字が小さい18.5%などである。
多機能で複雑な電気製品、細かい文字でぎっしり書かれた表示、重すぎる掃除機、開けにくい容器などを前に、戸惑っている高齢者の姿が見られる。

(3) 事故防止の課題
1) 火災事故に結びつきやすいもの、転倒・転落を誘発する恐れの強い商品に危険意識が高く、メーカーの設計段階からの検討が望まれる。

2) 高齢者が使いにくい商品やその原因を明らかにすることは、大勢の人が使いやすい、安全な商品の開発につながると考えられ、メーカーの検討が望まれる。

3) 高齢者の使いやすい商品の開発を促進するため、使いやすい商品の紹介、商品選択・使用上の注意マニュアルの発行、業界への安全基準作成の要望等を行っていく必要がある。
   
 
 
 

 
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